乾燥肌に対するヘパリン類似物質の効果と保険適用について解説します

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オオギ薬局のブログでの市販薬紹介シリーズ

オオギ薬局では、様々な医療用医薬品を〈処方箋なしで販売する〉という業態で、毎日全国から多くの問い合わせを頂きます。ただ、その中で

  • 法令上通販ができない為に対応ができない
  • 市販薬でも同等、類似の成分がある為にそれで十分だと考えられる

というケースがあるため、そういった方へ参考となるようなご案内ができればと思います。

乾燥は肌にとって大敵。特に冬は、肌トラブルも多くなりがちです。

「ヒルドイド(ヘパリン類似物質)は保湿効果があるらしいけど、乾燥肌では病院で処方してもらえないんだよね?」とお思いの方はいませんか?

この記事では、以下の内容について解説していきます。

  • ヘパリン類似物質の効果と種類
  • ヘパリン類似物質を美容目的で使用することについて
  • ヘパリン類似物質が保険適用となるケースとならないケース

ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。

ヘパリン類似物質とは

ヘパリン類似物質とは、抗凝固作用のあるヘパリンに似た構造をもつ物質の名称です。日本国内ではヒルドイドという名称で1954年にマルホ株式会社より発売され、現在では医薬品のみならず薬用化粧品にも配合されている成分です。ヘパリン類似物質は、以下の5つの作用があります。

  1. 血液凝固抑制作用
  2. 血流量増加作用
  3. 血腫消退促進作用
  4. 角質水分保持増強作用
  5. 線維芽細胞増殖抑制作用

引用:ヒルドイドクリーム0.3%添付文書〔薬効薬理〕より

「3.角質水分保持増強作用」を分かりやすく言い換えると「保湿」です。ヘパリン類似物質には保湿効果があるため、様々な薬用化粧品が販売されており、乾燥肌に対して使用されています。

ヘパリン類似物質を美容目的で使用することについて

医療用医薬品のヘパリン類似物質(ヒルドイドやヒルドイドのジェネリック医薬品)を美容目的として使用することはできません。中央社会保険医療協議会より、医療用保湿剤の適正使用についてという注意喚起もされており、日本皮膚科学会や、ヒルドイドの製造販売元であるマルホ株式会社も以下のように発表しています。

医療用医薬品のヘパリン類似物質は、下記の疾患に対する治療目的で使用されます。

血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)

引用:ヒルドイドクリーム0.3%添付文書〔効能・効果〕より

上記の疾患のいずれかに該当する場合は「治療」として医療機関でヘパリン類似物質を処方してもらうことが可能ですが、いずれにも該当しない場合は処方を受けることはできません。美容目的であれば、ヘパリン類似物質を含む薬用化粧品を使用しましょう。代表的な製品として、先発品のヒルドイドシリーズを開発したマルホ製薬と大手化粧品メーカーのコーセーが共同開発した「カルテHD」というものがあります。

※ヘパリン類似物質を有効成分とした医薬部外品です。医薬品ではありません。もともとヒルドイドを製造販売しているマルホと大手メーカーのタッグ製品で安心感はありますが、実は配合されているヘパリン類似物質の成分量などは詳細が記載されていません。使用感はどはドラッグストアでサンプルを試せるといいですね。
病院でもらっていたヒルドイドと違う、、という方もいれば、こちらのほうがいい!という方もいらっしゃるかと思います。

ヘパリン類似物質の種類について

ヘパリン類似物質には「クリーム」「軟膏」「ローション」「フォーム」など、様々な種類があります。

被覆性(皮膚の保護効果)は【(高い)軟膏>クリーム>ローション>フォーム(低い)】となります。

使用感としては【(しっとり)軟膏>クリーム>ローション>(さっぱり)】となります。

使い分けの一例として、季節によって使い分ける方法があります。春夏はさっぱりしたフォームやローション、乾燥しやすい秋冬はしっとり保湿できるクリームや軟膏、といった具合です。

乾燥肌に対するヘパリン類似物質の使用について

ヘパリン類似物質には高い保湿効果があるため、乾燥肌の方に効果的です。医療用医薬品のヘパリン類似物質が保険適用となるケースとならないケースについて、それぞれ解説していきます。

保険適用となるケース

下記の疾患に対する治療目的であれば、皮膚科等の医療機関を受診することで医療用医薬品のヘパリン類似物質を処方してもらうことができます。

血栓性静脈炎(痔核を含む)、血行障害に基づく疼痛と炎症性疾患(注射後の硬結並びに疼痛)、凍瘡、肥厚性瘢痕・ケロイドの治療と予防、進行性指掌角皮症、皮脂欠乏症、外傷(打撲、捻挫、挫傷)後の腫脹・血腫・腱鞘炎・筋肉痛・関節炎、筋性斜頸(乳児期)

引用:ヒルドイドクリーム0.3%添付文書〔効能・効果〕より

難しい言葉が並んでいますが、皮脂欠乏症がいわゆる乾燥肌に近い状態となります。皮脂欠乏症は乾皮症とも言われ、肌の皮脂や水分が不足して”肌が乾燥している状態”を指します。

実際に皮脂欠乏症と診断されヘパリン類似物質の処方が保険適用されるかどうかは医師の判断によるため、皮膚科等の医療機関を受診されると良いでしょう。

保険適用とならないケース

先ほど紹介した疾患のいずれにも当てはまらなければ、病院でヘパリン類似物質を処方してもらうことはできません。ドラッグストア等で市販されている一般用医薬品でセルフケアいただくと良いでしょう。下記の「ヒルマイルド」シリーズには、医療用医薬品のヘパリン類似物質と同じ量の0.3%が含有されています。

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薬局的裏話ではありますが、実はこのヒルマイルド、医療用医薬品のヒルドイドに類似させた商品名、パッケージということで、ヒルドイドを製造していたマルホが、この健栄製薬に対して「商標を侵害している」と訴訟になったことがりました。
結果としては
①健栄製薬が従前どおり「ヒルマイルド」の使用を継続する
②健栄製薬が「ヒルマイルド」のデザインを変更する
③健栄製薬が「ヒルマイルド」について、「マルホおよび同社が製造販売するヒルドイドとの関連はありません」との説明をテレビ等のCMやホームページで説明する―ことを条件に、両社間の紛争を終了する、という結果となりました。

有効成分の含有量からも、医療用のヒルドイドに寄せた、と感じられるのはしょうがない部分があるかもしれないですね。笑
ただ、言ってしまえば有効成分以外の99%に関しては、多少なりとも違うところがあるため、「成分同じだと思ったらなにか違う、、」と感じる場合は医療機関受診等が選択肢になってくるかもしれないですね。

まとめ

医療保険の財源は国の税金であり、元を辿れば日々私たちが払っているお金です。医療用医薬品は疾病の治療に対して使用されるものであり、美容目的で使用されるべきではありません。

しかし、ヒルドイドが必要な患者に対して処方されないというのもおかしな話です。肌の乾燥で困っているという方は、お近くの皮膚科を受診してみましょう。

※内容には弊社薬剤師スタッフが、一般的にみて不適切な内容、表記がないかチェックしておりますが、患者さまの状況(症状、既往歴、併用薬など)によって最適な治療、選択は変わる場合がございます。特に治療中の疾患がある方は、かかりつけの医院や薬局がございましたらそちらにご相談頂くのを一番と考えております。
※掲載内容は執筆時点の情報です。掲載後もなるべく最新の情報に更新するべく、予告なしに変更することがございます。
※内容に関しまして気になる点はお問い合わせフォームにて神田本店にご連絡頂ければと思います。

 

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