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オオギ薬局では、様々な医療用医薬品を〈処方箋なしで販売する〉という業態で、毎日全国から多くの問い合わせを頂きます。ただ、その中で
- 法令上通販ができない為に対応ができない
- 市販薬でも同等、類似の成分がある為にそれで十分だと考えられる
というケースがあるため、そういった方へ参考となるようなご案内ができればと思います。
肝臓が気になり、漢方薬で改善を試みようと思っている方もいらっしゃるかもしれません。
残念ながら、肝臓の機能を直接改善する漢方薬は市販されていません。
しかし、間接的に肝臓の働きを補ってあげるような漢方薬はいくつかあります。今回はそんな、肝臓と漢方についてピックアップ。肝臓のセルフケアとして、状況に応じて必要な漢方薬を試してみてください。
今回の記事を読むと以下のことがわかります。
- 肝臓のケアが必要な理由
- 漢方医学における「肝」の働き
- 肝臓のセルフケアにおすすめの漢方薬
ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
肝臓のケアが必要な理由
肝臓は、解毒作用、タンパク質や糖、脂質などの栄養素の合成、消化吸収を助ける作用など、健康を維持するためにさまざまな働きをしています。
肝臓はとても頑丈な臓器で、頑丈さを表すキーワードは“再生”と“沈黙”です。
肝臓は、切り取られても再生する唯一の臓器です。手術などで全体の3分の2が切除されても、しばらくすると元の大きさに戻ることができます。
肝臓は沈黙の臓器と言われており、痛みを感じる神経が通っていないため、肝臓が傷ついても自覚症状が現れにくいです。逆に、何らかの症状を感じたときにはかなり病気が進行しているケースが非常に多いです。
以上のように、肝臓は頑丈な臓器だからこそ、日々のケアが軽視されがちであるという悲しい一面もあります。それでは、肝臓にダメージを与え続けるとどうなるのか見ていきましょう。
️肝臓にダメージを与える行為とは
下記のような行為を行うと、肝臓に負担がかかります。
- アルコールを飲みすぎる
- 脂ものを食べすぎる
- ストレスでイライラする
アルコールを飲みすぎると、アセトアルデヒドが肝細胞にダメージを与えます。
脂ものを食べすぎると、中性脂肪が肝臓に蓄積してやがて「脂肪肝」と呼ばれる状態になります。
過度のストレスやイライラにより交感神経が過剰に反応し、肝臓の動きを助ける副交感神経がうまく反応せず肝臓機能が衰えます。
上記の行為を続けてしまうと肝臓にダメージが蓄積して、やがて「肝機能障害」と呼ばれる病気になります。続いて、肝機能障害の恐ろしさについても見ていきましょう。
肝機能障害が進行するとどうなるの?
肝機能障害とは、何らかの原因によって肝細胞が障害を受け炎症が起こり、肝細胞が壊されてしまう病態のことです。肝臓が炎症を起こしているため「肝炎」と言われます。肝炎の原因によって、以下のように分類されます。
ウイルスによる障害を受けた肝炎は「ウイルス性肝炎」と呼ばれ、ウイルスの種類によって「B型肝炎」や「C型肝炎」などの名称がつきます。
アルコールによる障害を受けた肝炎は「アルコール性肝障害」と呼ばれます。アルコールを摂取しておらず、中性脂肪などによる肝障害があれば「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」と呼ばれます。
「肝炎」や「肝障害」の状態が続くと「肝硬変」になります。肝硬変は、肝臓が障害を受けて生じた炎症を修復するときにできる「線維(コラーゲン)」というタンパク質が増加して肝臓全体に拡がった状態のことです。
先ほど「肝臓は沈黙の臓器である」という話をしましたが、肝硬変まで進行すると食欲不振や疲れやすくなる等の初期症状から始まり、やがて黄疸(白目が黄色くなる)や腹水(お腹に水がたまる)といった症状が出てくる患者さんもいます。また「肝臓は再生する」という話もしましたが、肝硬変の状態が長く続くと元通りの細胞に修復するのは難しくなります。
肝硬変が進行すると「肝がん」を合併するリスクが上がり、やがて「肝不全」となり死に至る場合があります。そうならないために、日々の肝臓ケアが重要です。
肝機能に関する検査値とその意味
ここまで肝臓病の進行について少し怖い話をしてきましたが、早期に発見して適切な治療を受けることで、肝臓病の進行を抑制することができます。近年、ウイルス性肝炎に対して優れた抗ウイルス薬も開発されておりますし、アルコール性であれば禁酒、脂肪肝であれば減量が有効な治療法となります。
さて、健康診断で肝臓の数値が高いと指摘されたことはありませんか?肝臓の機能を表す数値として、AST、ALT、ALP、γ-GTPなどがあります。詳しく紹介します。
AST(基準値:7~38 IU/L)
ALT(基準値:4~44 IU/L)
肝臓の細胞が壊れると血中に出てくる酵素です。
健康な人ではASTの方が高いが、肝臓が悪くなるとALTの方が高くなります。
値が高いと、慢性肝炎、急性肝炎、アルコール性肝炎、脂肪肝、肝硬変、肝がんなどが疑われます。
ALP(基準値:50~350 IU/mL)
肝臓で処理されて胆汁中に流れ出る酵素です。
肝臓や腸粘膜、骨などで作られ、リン酸化合物を分解します。
AST、ALPは肝炎によって上昇し、ALPは胆汁うっ滞によって上昇します。
そのため黄疸が現れた際の原因を確認するために使用されることがあります。
値が高いと、胆汁うっ滞、薬剤性肝障害、転移性肝がんなどが疑われます。
γ-GTP(基準値:男性80 IU/L以下、女性30 IU/L以下)
肝臓や腎臓、膵臓にもある酵素です。
従来、アルコールをたくさん飲む人は数値が上昇しやすいと言われてきました。
最近の研究では、アルコールに関係なく、肝臓に中性脂肪が溜まり肝炎になっても上昇することがわかっています。
肝臓は沈黙の臓器。数値が高いということは、肝臓が悲鳴を上げている証拠です。数値に異常があれば、自覚症状がなかったとしても、必ず病院を受診して適切な治療を受けましょう。そして、肝臓を労わるために、バランスの良い食事や適度な運動を心掛け、規則正しい生活を送りましょう。
漢方医学における「肝」の働き
西洋医学における「肝臓」は言葉の通り肝臓を1つの臓器として捉えますが、漢方医学における「肝」の概念は肝臓を含むもっと広い範囲を捉えています。「肝」は「血を蔵(やど)し、疏泄(そせつ)を主(つかさど)る。」と言われています。
「血を蔵す」
血液だけでなく、栄養素も全身へ供給しているという考え方です。
肝が悪くなることで、血の貯蔵ができなくなると全身へ供給できないため、健康状態が悪化します。
「疏泄を主る」
漢方のいう「気」とは目に見えない、オーラみたいな考え方で、常に全身を巡っています。
巡りが順調な時は気分や体調も良いとされ、逆に巡りが悪くなると、気分が落ち込み体調も悪くなるという考え方です。
疏泄(そせつ)とは、大きくいうと「気の巡り」のことを指し、肝は「気の巡り」を調節する働きがあります。
「肝」が弱ると、血のめぐりや気のめぐりが悪くなる他にも、自律神経が乱れて情緒が不安定になりイライラしやすくなります。漢方薬は、血や気を補ったり、時には排泄したり、巡りをよくしたりなどの作用を示すことにより結果的に肝臓の健康を維持、改善していきます。
肝臓ケアにおすすめの漢方と選び方
冒頭で述べたように、肝臓の機能を直接改善する漢方薬は市販されていません。肝臓病の方は、医療機関を受診して適切な治療を受けてください。
ここからは、日々の肝臓ケアにお役立ていただけるよう、肝臓に負荷がかかる状況に応じた漢方薬の選び方についてご紹介します。
お酒を飲みすぎた時の漢方薬
アルコールを飲みすぎると、アセトアルデヒドが肝細胞にダメージを与えます。肝臓のことを考えると、飲酒量を減らすことが最も大切です。その上で、二日酔いなどの症状におすすめする漢方をご紹介いたします。
ツムラ漢方五苓散エキス顆粒A
五苓散(ごれいさん)は、体内をめぐる「水」のバランスを整える漢方薬です。二日酔でムカムカして口が渇き、はきけがするなどの症状に効果を発揮します。
【効能・効果】
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹(※))のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔
※)しぶり腹とは、残便感があり、くり返し腹痛を伴う便意を催すもののことである。
【副作用】
発疹・発赤、かゆみ
クラシエ五苓散錠
クラシエから発売されている五苓散は、顆粒と錠剤の2種類の剤形があります。「漢方薬は苦くて飲みにくい」と思われる方も、錠剤であれば飲みにくさが軽減されるかもしれません。
【効能・効果】
体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもので、めまい、はきけ、嘔吐、腹痛、頭痛、むくみなどのいずれかを伴う次の諸症:水様性下痢、急性胃腸炎(しぶり腹のものには使用しないこと)、暑気あたり、頭痛、むくみ、二日酔
【副作用】
発疹・発赤、かゆみ
食べ過ぎや肥満が気になる人のための漢方薬
食べ過ぎや肥満によって中性脂肪が肝臓に蓄積して、やがて「脂肪肝」と呼ばれる状態になります。皮下脂肪が多い脂肪太りなのか、筋肉に締まりがなく浮腫みやすい水太りなのかで使用する漢方が違います。
「クラシエ」漢方防風通聖散料エキスFC錠
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、過食や暴飲暴食を抑え、スムーズな排便を促すことで老廃物を排出し、脂質代謝をあげて脂肪燃焼を促す効果のある漢方薬です。ぽっちゃりしていて食欲旺盛で便秘気味の方におすすめです。
【効能・効果】
体力充実して、腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の諸症:高血圧や肥満に伴う動悸・肩こり・のぼせ・むくみ・便秘、蓄膿症(副鼻腔炎)、湿疹・皮膚炎、ふきでもの(にきび)、肥満症
【副作用】
発疹・発赤、かゆみ、吐き気・嘔吐、食欲不振、胃部不快感、腹 部膨満、はげしい腹痛を伴う下痢、腹痛、めまい、発汗、動悸、むくみ、頭痛
【まれに起こる重篤な副作用】
間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害、腸間膜静脈硬化症
ツムラ漢方防已黄耆湯エキス顆粒
防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は、体がむくみがちで水分の代謝が悪い肥満体質の、いわゆる水太りタイプの方に使用されます。体をめぐる「水」のバランスを整えることで、むくみや水太りを改善します。
【効能・効果】
体力中等度以下で、疲れやすく、汗のかきやすい傾向があるものの次の諸症:肥満に伴う関節の腫れや痛み、むくみ、多汗症、肥満症( 筋肉にしまりのない、いわゆる水ぶとり)
※)血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことである。
【副作用】
発疹・発赤、かゆみ、食欲不振、胃部不快感
【まれに起こる重篤な副作用】
間質性肺炎、肝機能障害
ストレスでイライラする時の漢方薬
漢方では「肝」が衰えると気の巡りが滞り、イライラしたり情緒不安定になるとされています。そういった時には気の巡りを整える漢方がおすすめです。
ツムラ漢方加味逍遙散エキス顆粒
加味逍遙散(かみしょうようさん)は、「肝」に異常があり交感神経が興奮したことによるイライラ、不眠症などの中高年女性の方の神経症状によく用いられます。自律神経を調整し、イライラやのぼせを鎮めて、血行を促進する効果があります。
【効能・効果】
体力中等度以下で、のぼせ感があり、肩がこり、疲れやすく、精神不安やいらだちなどの精神神経症状、ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症、虚弱体質、月経不順、月経困難、更年期障害、血の道症(※)、不眠症
※)血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことである。
【副作用】
発疹・発赤、かゆみ、吐き気・嘔吐、食欲不振、胃部不快感
【まれに起こる重篤な副作用】
肝機能障害、腸間膜静脈硬化症
「クラシエ」漢方柴胡桂枝湯エキス顆粒A
柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)は、風邪をひいた時などの身体的ストレスから回復したい方におすすめです。
【効能・効果】
体力中等度又はやや虚弱で、多くは腹痛を伴い、ときに微熱・寒気・頭痛・はきけなどのあるものの次の諸症:胃腸炎、かぜの中期から後期の症状
【副作用】
発疹・発赤、かゆみ、頻尿、排尿痛、血尿、残尿感
【まれに起こる重篤な副作用】
間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害
まとめ
肝臓は沈黙の臓器と言われ、多少無理をして炎症を起こしてしまっていても、痛みや不調を感じにくい臓器です。そのため、気づいた時には肝硬変や肝がんなど生命を脅かす事態になっていることも。
健康的な生活を送るために日頃から暴飲暴食は控え、運動習慣を身につけて、肝臓を労わるように意識していきましょう。健康診断で数値が高いと言われた方は、かかりつけ医とも相談の上、漢方薬によるセルフケアも選択のひとつにしてみてください。
※内容には弊社薬剤師スタッフが、一般的にみて不適切な内容、表記がないかチェックしておりますが、患者さまの状況(症状、既往歴、併用薬など)によって最適な治療、選択は変わる場合がございます。特に治療中の疾患がある方は、かかりつけの医院や薬局がございましたらそちらにご相談頂くのを一番と考えております。
※掲載内容は執筆時点の情報です。掲載後もなるべく最新の情報に更新するべく、予告なしに変更することがございます。
※内容に関しまして気になる点はお問い合わせフォームにて神田本店にご連絡頂ければと思います。
参考サイト
- https://www.tsumurakampo.jp/product/017/
- https://www.kracie.co.jp/products/ph/10167401_2220.html
- https://www.kracie.co.jp/products/ph/10121165_2220.html
- https://www.tsumurakampo.jp/product/020/
- https://www.tsumura.co.jp/products/ippan/007/index.html
- https://www.kracie.co.jp/products/ph/1201822_2220.html