【薬剤師が解説】乗り物酔い止め薬の選び方とおすすめ5選!アネロン・トラベルミンの違いや眠くなりにくい薬も徹底解説

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「せっかくの旅行なのに、バスや船で酔ってしまうのが怖い…」
「仕事で車に乗らないといけないけれど、眠くなる薬は困る…」

楽しいはずの旅行や大事な仕事の移動中に、吐き気やめまいに襲われる「乗り物酔い」。生活の質を著しく下げるこの問題は、長きにわたり人類の課題でした。
ドラッグストアには数多くの酔い止め薬が並んでいますが、「どれも同じに見える」「アネロンとトラベルミンは何が違うの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、乗り物酔いが発生するメカニズムから、市場を代表する「アネロン」と「トラベルミン」の徹底比較、そして薬剤師が厳選するおすすめの市販薬について詳しく解説します。

この記事の内容

  • 乗り物酔いの原因(感覚不一致説)
  • 酔い止め薬の成分と作用機序
  • アネロンとトラベルミンの違い
  • 眠くなりにくい薬の選び方
  • 薬剤師おすすめの酔い止め薬5選

乗り物酔い(動揺病)はなぜ起こるのか?

適切な薬を選ぶためには、まず「なぜ酔うのか」を知ることが大切です。現在、医学的に最も有力とされているのが「感覚不一致説(Sensory Conflict Theory)」です。

脳が混乱する「感覚不一致説」

私たちの脳は、自分が空間のどこにいて、どう傾いているかを把握するために、主に3つの感覚情報を統合しています。

  1. 視覚系(Visual System):目から入る情報。景色や水平線を見て位置を把握します。
  2. 前庭系(Vestibular System):耳の奥(内耳)にある三半規管や耳石器からの情報。回転や加速、重力を感知します。
  3. 体性感覚系(Somatosensory System):足の裏や筋肉からの情報。体がどう支えられているかを感じます。

普段歩いている時は、これらの情報が一致していますが、乗り物の中ではズレが生じます。例えば、揺れる船内でスマホを見ている時を想像してください。

  • 視覚:「スマホは止まっている」=動いていない
  • 内耳・体:「船が揺れている」=動いている

この「情報のズレ」が脳内でエラー信号となり、自律神経や嘔吐中枢を刺激することで、めまいや吐き気といった症状が引き起こされるのです。

関与する神経伝達物質

このエラー情報の伝達には、いくつかの神経伝達物質が関わっており、市販薬はこれらをブロックすることで効果を発揮します。

  • ヒスタミン:嘔吐反射や覚醒維持に関わります。これをブロックすると吐き気は止まりますが、眠気が出ます。
  • アセチルコリン:副交感神経の伝達物質で、内耳からの刺激伝達に関わります。

症状の進行プロセス

乗り物酔いは段階的に進行します。

  1. 初期(前駆期):あくび、生つば、眠気、顔面蒼白。
  2. 中期:胃の不快感、冷や汗、頭痛。
  3. 後期:嘔吐、脱力感。

市販薬は、主に「初期」の段階で自律神経の興奮を鎮め、進行を食い止めることを目的としています。

酔い止め薬に含まれる成分の正体

市販の酔い止め薬は、複数の成分を組み合わせた「配合剤」が一般的です。主要な成分について解説します。

抗ヒスタミン成分

嘔吐中枢への刺激と内耳前庭での自律神経反射を抑制し、めまいや吐き気(嘔吐)などの症状を予防・緩和します。眠気の副作用が現れる場合があり、車の運転をする場合や移動時間も楽しみたい場合など、眠くなると困る人は注意が必要な成分です。

  • マレイン酸フェニラミン:「アネロン」などに配合。持続性が高く、長時間効果が続きますが、眠気も強い傾向があります。
  • ジフェンヒドラミンサリチル酸塩:「トラベルミン(大人用)」などに配合。即効性がありますが、持続時間は短め。眠気が強く出やすい成分で、睡眠改善薬と同じ成分です。
  • d-クロルフェニラミンマレイン酸塩:風邪薬などにも使われる成分。抗ヒスタミン作用は強力です。
  • 塩酸メクリジン:「トラベルミンファミリー」などに配合。作用時間が長く、海外では第一選択薬とされることも多い成分です。

抗コリン成分

脳の中枢に働きかけ、副交感神経の興奮を抑制。また、消化管の緊張を低下させて、吐き気(嘔吐)を予防します。口渇の副作用が現れる場合があり、口が渇くので水分摂取量が増え、トイレが近くなるので自動車やバスでの長時間の移動が困るという人もいます。緑内障や排尿困難、前立腺肥大症の方は抗コリン作用により持病を悪化させる恐れがあるため、服用を避けた方が良いでしょう。

  • スコポラミン臭化水素酸塩水和物:酔い止めに含まれる抗コリン成分として代表的な成分で、多くの酔い止め市販薬に含まれています。

その他の補助成分

  • 無水カフェイン:平衡感覚の乱れによるめまいを軽減し、乗物酔いによる頭痛を和らげます。抗ヒスタミン薬の副作用である眠気を打ち消す効果も期待されます。
  • アミノ安息香酸エチル:胃粘膜への麻酔作用で、吐き気(嘔吐)を抑えます。「アネロン」に配合されています。
  • ジフェニドール塩酸塩:内耳の血流を改善し、平衡感覚を調整します。抗ヒスタミン作用を持たないため、比較的眠くなりにくいのが特徴です。
  • ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6):吐き気止めとしてつわりなどにも使われるビタミンです。

二大ブランド徹底比較:アネロン vs トラベルミン

日本の酔い止め市場を牽引する「アネロン(エスエス製薬)」と「トラベルミン(エーザイ)」。それぞれの特徴を深掘りします。

5種類の有効成分を配合した、1日1回で長くよく効く「アネロン」

「アネロン ニスキャップ」は、「絶対に酔いたくない」「一度飲んだら一日忘れたい」というヘビーユーザー向けの製品です。

  • 5種成分の配合:強力な抗ヒスタミン成分に加え、胃を直接麻酔するアミノ安息香酸エチルを高用量配合しています。
  • 持続性技術:アネロンが「1日1回」で済む理由は、カプセル内部の顆粒にあります。顆粒の一つひとつが特殊な被膜でコーティングされており、胃の中でカプセルが溶けると水分が浸透し、薬効成分が徐々に放出される仕組みになっています
  • メリット:圧倒的な制吐力があり、胃がムカムカしてからでも効きます。
  • デメリット:副作用(眠気・口の渇き)が強く、15歳未満は服用できません。

全方位対応「トラベルミン」

「トラベルミン」シリーズは、ユーザーの属性やニーズに合わせて製品が細分化されています。

  • トラベルミン(大人用):シンプルな構成。スコポラミンを含まないため抗コリン作用が気になる人向けです。持続時間は比較的短いですが、必要に応じて追加服用(4時間以上あけて1日3回まで)ができるため、移動距離や体調に合わせて調整しやすい点がメリットです。
  • トラベルミンファミリー:5歳から服用可能。水なしで飲めるラムネタイプで、持続性のあるメクリジンを配合。家族旅行に最適です。
  • トラベルミンR:眠気が比較的少ないタイプ。内耳の血流改善成分ジフェニドールを主軸に、11歳から服用可能です。

比較総括表

比較項目アネロン「ニスキャップ」トラベルミン(大人用)トラベルミンRトラベルミンファミリー
メーカーエスエス製薬エーザイエーザイエーザイ
対象年齢15歳以上15歳以上11歳以上5歳以上
1日服用回数1回(持続性)3回まで(4時間間隔)2回まで2回まで
形状カプセル錠剤小粒錠剤チュアブル(水なし可)
強み最強の制吐力と持続性。胃の不快感を直接消去。調整しやすさ。抗コリン剤フリー。眠気が比較的少ない。めまいへの効果。家族共有可。水なしでどこでも飲める。
弱点眠気・口渇が強い。小児不可。眠気が強い。必要に応じて追加服用(4時間以上あけて1日3回まで)。即効性はアネロンに劣る可能性。アネロンほどの強力な胃薬成分はない。

「眠くなる」問題をどう解決するか

「酔い止めは飲みたいが、眠くなって旅行を楽しめないのは嫌だ」という悩みは尽きません。

なぜ眠くなるのか

乗り物酔いを止める主成分(抗ヒスタミン薬)は、脳の覚醒を維持するヒスタミンをブロックすることで効果を発揮します。つまり、「酔いを止めること」と「眠くなること」は表裏一体の関係にあり、完全に切り離すことは難しいのが現状です。

眠くなりにくい選択肢

  1. 【漢方薬】普導丸(ふどうがん)
    眠気を起こす成分は入っていません。体内の水分バランスを整え、内耳のむくみを取ることで酔いを防ぎます。
  2. 【西洋薬】トラベルミンR
    抗ヒスタミン作用を抑え、内耳循環改善薬で補う設計のため、比較的眠気リスクは低いです(ゼロではありません)。

眠気を改善する方法

換気が悪い環境では二酸化炭素濃度が上昇し、眠気の原因となります。頻回に窓を開けるなど換気を行うことで二酸化炭素濃度の上昇を防ぎ、眠気を防ぎましょう。外気が入ると気分もスッキリするのでおすすめです。

状況別・おすすめの乗り物酔い薬5選

ここからは、薬剤師が具体的ニーズに合わせて厳選したおすすめ商品を紹介します。

【最強・持続】絶対に酔いたくない大人へ

アネロン「ニスキャップ」

5種成分による鉄壁の防御。特に胃への麻酔作用による制吐力は他を強力です。胃の中でカプセルが溶けると顆粒が水分に浸透し、核から薬効成分が徐々に放出され、効果が長時間持続します。そのため、船釣りや海外旅行の長時間フライトに最適です。

有効成分(1カプセル中)

  • マレイン酸フェニラミン 30mg
  • アミノ安息香酸エチル 50mg
  • スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.2mg
  • 無水カフェイン 20mg
  • ピリドキシン塩酸塩 5mg

効能効果

  • 乗物酔いによるはきけ・めまい・頭痛の予防および緩和

用法用量

  • 次の1回量を1日1回、水又はぬるま湯で服用してください。ただし、乗物酔いの予防には乗車船の30分前に服用してください。
  • 成人(15才以上):1回1カプセル
  • 15才未満:服用しないこと
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アネロン
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服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください。(眠気や目のかすみ、異常なまぶしさ等の症状があらわれることがあります。)

【家族・利便性】子連れ旅行の必携品

トラベルミン ファミリー

5歳から大人まで、家族全員がこれ一箱で対応できます。水なしで飲めるラムネタイプなので、車内で「あ、酔いそう」となってからでも間に合います。成分(メクリジン)のバランスも良く、効き目と副作用のバランスが取れています。

有効成分(2錠中)

  • 塩酸メクリジン 25mg
  • スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.16mg

効能効果

  • 乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和

用法用量

  • 乗物酔いの予防には乗車船30分前に、次の1回量をかむか、口中で溶かして服用してください。
  • 15歳以上:1回2錠
  • 11歳以上15歳未満:1回2錠
  • 5歳以上11歳未満:1回1錠
  • 5歳未満:服用しないこと
  • (1日2回まで服用可能)
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トラベルミン
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服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください。(眠気や目のかすみ、異常なまぶしさ等の症状があらわれることがあります。)

【眠気対策・学生】修学旅行や観光重視派へ

トラベルミンR

抗ヒスタミン作用を抑え、循環改善作用で酔いを防ぐ設計です。完全に眠くないわけではありませんが、アネロン等に比べれば覚醒状態を維持しやすいです。11歳から飲めるので中高生の修学旅行にベストです。

有効成分(2錠中)

  • ジフェニドール塩酸塩 40mg
  • d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 2mg
  • 無水カフェイン 50mg
  • スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.32mg
  • ピリドキシン塩酸塩 10mg

効能効果

  • 乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和

用法用量

  • 乗物酔いの予防には乗車船30分前に、次の1回量を水またはお湯で服用してください。
  • 11歳以上:1回1錠
  • 11歳未満:服用しないこと
  • (1日2回まで服用可能)
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トラベルミン
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服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください。(眠気や目のかすみ、異常なまぶしさ等の症状があらわれることがあります。)

【即効性・レスキュー】酔ってから飲むなら

センパア・QT

口に入れた瞬間に溶ける速溶錠です。「酔ってしまった!」という緊急時に、水を探すことなく瞬時に服用できます。パニックになりがちな嘔吐直前の状況下で、この飲みやすさは最大の機能です。

有効成分(2錠中)

  • d-クロルフェニラミンマレイン酸塩 4mg
  • スコポラミン臭化水素酸塩水和物 0.5mg

効能効果

  • 乗物酔いによるめまい・吐き気・頭痛の予防及び緩和

用法用量

  • 次の量をかむか、口中で溶かして服用してください。乗物酔いの予防には乗車船30分前に服用してください。
  • 15才以上:1回1錠
  • 15才未満:服用しないこと
  • (1日2回まで服用可能)
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大正製薬
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服用後、乗物又は機械類の運転操作をしないでください。(眠気や目のかすみ、異常なまぶしさ等の症状があらわれることがあります。)

【運転手・完全非鎮静】眠気ゼロの唯一解

【漢方薬】普導丸(ふどうがん)

眠気を起こす成分は入っていません。体内の水分バランスを整え、内耳のむくみを取ることで酔いを防ぎます。)

漢方薬であり、脳を眠くする成分が一切入っていません。プロドライバーや、運転交代の可能性があるパパ・ママにとって、安心して飲める唯一の選択肢です。二日酔いや天気痛対策として、旅行カバンの常備薬にもなります。

配合生薬(120粒中)

  • 日局オウバク末…2.00g
  • 日局ケイヒ末…0.30g
  • 日局ショウキョウ末…0.20g
  • ガジュツ末…0.30g
  • 日局センキュウ末…1.00g
  • 日局トウキ末…0.60g
  • 日局ウイキョウ末…0.50g
  • ※添加物としてアラビアゴム末、銀箔を含有します。

効能効果

  • 溜飲、悪心嘔吐、乗物酔い、二日酔い、めまい、口臭、胸つかえ、気分不快、暑気あたり

用法用量

  • 製品により異なります(通常1日2〜3回食前または食間)。

薬を使わない対策(ライフハック)

薬の効果を最大化し、副作用を最小化するために、以下の方法も併用してみましょう。

  1. ツボ押し(内関):手首のシワから指3本分肘側の場所にある「内関(ないかん)」というツボを刺激します。吐き気を抑える効果があります。
  2. 炭酸水と氷:冷たい刺激や炭酸は、副交感神経の過緊張をリセットし、胃をスッキリさせます。
  3. 視覚情報のコントロール:スマホや本を見ず、遠くの景色(地平線)を見ましょう。サングラスで光のチラつきを減らすのも有効です。
  4. 座席選び
    • バス:タイヤの上を避け、前方へ。
    • :重心が安定している中央、低い階層へ。
    • 飛行機:主翼の上へ。
  5. 酔う”前”に服用する:乗り物酔いは段階的に進行します。酔い止めの症状が出てから酔い止めを服用するのではなく、乗る前から服用することで予防に努めましょう。
  6. 体調管理:空腹や満腹、寝不足や二日酔いは乗り物酔いを悪化させます。消化に良いものを適度に食べて空腹および満腹を避け、前日はお酒を飲まずにしっかり寝ましょう。

まとめ

今回は、乗り物酔いのメカニズムと、アネロンやトラベルミンをはじめとする主要な酔い止め薬の違いについて解説しました。

ご自身の状況や優先順位(効き目か、眠気回避か)に合わせて、最適な薬を選んでください。

※内容には弊社薬剤師スタッフが、一般的にみて不適切な内容、表記がないかチェックしておりますが、患者さまの状況(症状、既往歴、併用薬など)によって最適な治療、選択は変わる場合がございます。特に治療中の疾患がある方は、かかりつけの医院や薬局がございましたらそちらにご相談頂くのを一番と考えております。
※掲載内容は執筆時点の情報です。掲載後もなるべく最新の情報に更新するべく、予告なしに変更することがございます。
※内容に関しまして気になる点はお問い合わせフォームにて神田本店にご連絡頂ければと思います。

参考情報
エスエス製薬 製品情報
エーザイ 製品情報
大正製薬 製品情報