【薬剤師監修】葛根湯はいつ飲むのが正解?「食前」だけじゃない、効果を最大化する“3つのタイミング”と絶対NGな飲み方

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今回は、日本人にとって最も馴染み深い漢方薬の一つである「葛根湯」について、その効果を最大限に引き出すための「正しい飲み方」を徹底解説します。

葛根湯は「風邪薬」というイメージが強いかもしれませんが、その効能・効果については 添付文書等で以下のように定められています。

体力中等度以上のものの次の諸症: 感冒の初期(汗をかいていないもの)、鼻かぜ、鼻炎、頭痛、肩こり、筋肉痛、手や肩の痛み

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実は葛根湯は「肩こり」や「頭痛」にも使われる、幅広い応用範囲を持つ漢方薬です。しかし、ここで特に注目すべきは「感冒の初期(汗をかいていないもの)」という記述です。

「風邪かな?と思ったら葛根湯」というフレーズは有名ですが、この「初期」や「汗をかいていない」という条件を無視して飲んでいませんか? 「食後じゃダメなの?」「寝る前に飲んでもいいの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

「風邪かな?と思ったら葛根湯」というフレーズは有名ですが、実際に「いつ」飲んでいますか?

「食後じゃダメなの?」「寝る前に飲んでもいいの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

また、なんとなく風邪っぽいからといって、ダラダラと数日間飲み続けてはいませんか?

実は、葛根湯は飲む「タイミング」を間違えると、効果がないばかりか、逆に体調を悪化させてしまうこともある、非常にデリケートな薬なのです。

この記事では、現役薬剤師の視点から、医学的根拠に基づいた、「風邪のどの段階か(病期)」と「1日のいつか(服用時間)」について、また意外と知られていない「NGな飲み方」について、詳しく紐解いていきます。

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1. 葛根湯が効くのは「病気のどの段階」か?

葛根湯の効果を語る上で最も重要なのが、「いつ飲むか(病期)」です。

西洋医学的な風邪薬(総合感冒薬)は、鼻水や咳などの「症状を抑える」ものなので、症状がある間は飲み続けるのが基本です。

しかし、葛根湯は全く異なります。葛根湯は「体の免疫反応(発熱・発汗)を加速させるアクセル」のような薬だからです。

1-1. 勝負は「ウイルス侵入から数時間〜1日」

葛根湯がその真価を発揮するのは、風邪のほんの入り口、フェーズ1からフェーズ2と呼ばれるごく初期の段階に限られます。

  • フェーズ1:感染直後〜数時間(なんとなく変?)
    なんとなく喉がイガイガする、肩が重い、違和感がある。この「風邪かな?」と思った瞬間に飲むのがベストです 。この段階で服用することで、体温を早期に上昇させ、ウイルスの増殖速度を抑制できる可能性があります 。
  • フェーズ2:発症〜1日目(ゾクゾクする寒気)
    ここが葛根湯の「主戦場(絶対適応)」です 。 重要なサインは「悪寒(さむけ)」と「無汗(汗が出ていないこと)」です 。体がガタガタ震える(シバリング)のは、筋肉を動かして熱を作り出そうとしている証拠です。葛根湯は、この熱産生を強力にアシストし、一気に体温を上げてウイルスと戦う環境を整えます 。
  • フェーズ3:2日目〜3日目(こじらせ期・炎症期) 寒気が消え、逆に体が熱く感じたり、すでに汗をかいていたりする状態です。喉の痛みが激しくなり、鼻水や痰に粘り気(黄色や緑色)が出てきます 。 葛根湯の適否:×不適応(Too Late)。 すでに体が熱を持ち、発汗している状態で、さらに温めて発汗させる葛根湯を飲むと、脱水や体力の消耗を招きます 。柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)などが選択肢になります 。
  • フェーズ4:回復期(長引く微熱・だるさ) ウイルスとの戦いは終わりましたが、体力が落ちてすっきり治らない状態です。微熱が続く、食欲がない、だるいなどが特徴です。 葛根湯の適否:×不可。 体力を補う必要がある時期に、発散させる薬を使うと回復が遅れます。補中益気湯(ほちゅうえっきとう)などで「気」を補う必要があります。

1-2. なぜ「汗」が重要なのか?

葛根湯の服用判断において、体温計の数字以上に信頼できる指標が「汗」です。

古代中国の医学書『傷寒論』では、葛根湯の適応として「無汗(汗が出ていない)」状態が明記されています。

風邪の引き始めにおいて、体は熱を逃がさないよう毛穴を閉じますが、葛根湯はこの体温上昇を助けて免疫を活性化させます。しかし、汗が出始めるのは「体温上昇が完了した」という脳からのサインであり、体は既に放熱モードに入っています。この段階で服用すると、麻黄の作用で過度な発汗や脱水を招き、逆に体力を消耗させてしまいます。そのため医学的にも「汗」が服用のやめどきを見極める絶対的な基準となるのです。

  • 無汗(汗をかいていない):【推奨】
    体表の毛穴が閉じ、熱が逃げ場を失って体内にこもっている状態です。葛根湯の作用で強制的に毛穴を開き(発汗)、熱を発散させる必要があります。
  • 微汗(じっとりしている):【要検討】
    すでに少し汗をかいている場合、葛根湯(特に麻黄という成分)は強すぎる可能性があります。よりマイルドな「桂枝湯」などが推奨されます。
  • 多汗(ダラダラ流れる): 【中止・不可】
    すでに体液(津液)が失われています。体力消耗や脱水につながる恐れがあるため、葛根湯の服用は控えてください。

1-3. 「暑く感じてきた」「汗をかいてきた」は手遅れのサイン

もし、以下のような症状が出ている場合は、葛根湯のタイミングを逃しています(Too Late)。

  • 寒気がなくなり、逆に暑がっている
  • 汗をかいている

これは風邪が「フェーズ3」以降に進行したサインです。

すでに体が熱を持ち、炎症が進行している状態で、さらに体を温める葛根湯を飲むことは「火に油」を注ぐようなものです。

この段階では、小柴胡湯や竹茹温胆湯など、別の漢方薬や西洋薬への切り替えが必要です。

2. 「服用時間」の正解:食前・食間・寝る前

次に、1日の中での「飲むタイミング(時間帯)」について解説します。

漢方薬のパッケージには必ず「食前または食間」と書かれていますが、これにはきちんとした科学的根拠があります。

2-1. なぜ「空腹時」が基本なのか?

「食前」とは食事の30分〜1時間前、「食間」とは食事と食事の間(食後2〜3時間)を指し、いずれも胃の中に食べ物が入っていない「空腹時」を意味します。

これには大きく2つの理由があります。

① 成分の吸収効率とpHの関係

葛根湯に含まれる重要な生薬「麻黄(マオウ)」の主成分エフェドリンは、アルカロイドという塩基性の物質です。

空腹時の胃の中は強酸性(pH1〜2)であり、この環境下ではアルカロイドは吸収が抑制されやすく、急激な血中濃度の上昇(副作用のリスク)を防ぐことができます。

また、葛根や甘草の成分は、腸内細菌によって分解されて初めて吸収される「配糖体」という形をしています。

食事と一緒に摂ると、食物繊維や他の栄養素が腸内細菌の働きを邪魔したり、成分を吸着してしまったりして、吸収効率が落ちてしまうのです。

② 即効性の追求

風邪の初期治療は時間との勝負です。

空腹時は胃の内容物が腸へ送られるスピード(胃排泄速度)が速いため、薬剤が速やかに小腸へ到達し、吸収されます。

食後に飲むと、食べ物が消化されるまで薬も胃に留まってしまい、効果が出るのが数時間遅れてしまう可能性があります。

2-2. 飲み忘れたら「食後」でもOK?

では、食前に飲み忘れてご飯を食べてしまった場合はどうすれば良いでしょうか?答えは「飲まないよりは飲んだ方が良い」です。

漢方薬の効果は、血中の薬物濃度がある程度維持されることで発揮されます。飲み忘れてスキップしてしまうと、有効濃度を下回る時間が長くなり、せっかくの治療効果が弱まってしまいます。食後であっても吸収自体は行われるため、ゼロにするよりは追加で服用すべきです。

ただし、飲み忘れたからといって、次のタイミングで2回分をまとめて飲むことは絶対に避けてください。 もし次の服用時間が近い場合は、飲み忘れた分はスキップして、次の1回分だけを飲みましょう。過剰摂取による副作用(動悸や血圧上昇など)のリスクが高まります。

また満腹時は生薬独特の味や匂いで胃の不快感を感じやすくなることがある点には注意しましょう。

2-3. 「寝る前」に飲んでもいい人・ダメな人

「寝る前に葛根湯を飲むとよく効く」という話を聞いたことはありませんか?

これにはメリットとデメリットの両方があります。

【メリット:冷え性の方】

葛根湯の温熱効果で手足の冷えが改善され、入眠しやすくなる効果が期待できます。

また、就寝中に発汗のピークを持ってくることで、翌朝の解熱を狙う伝統的な方法(覆杯)もあります。

【デメリット:不眠傾向・神経質な方】

葛根湯に含まれる麻黄(エフェドリン)には、交感神経を刺激する作用があります。

これはコーヒーに含まれるカフェインのような覚醒作用をもたらすため、目が冴えて眠れなくなってしまうことがあります。

【薬剤師のアドバイス】

初めて飲む方や、夜眠れるか心配な方は、夕食前(就寝3〜4時間前)に服用するのが無難です。血中濃度のピークを過ぎた頃に就寝できるため、不眠のリスクを下げられます。

もし効果を優先して寝る前に飲む場合は、枕元に着替えとスポーツドリンクを用意し、汗をかいたらすぐに対処できるようにしておきましょう。

3. 薬剤師が教える「効果をブーストさせる」作法

葛根湯は「ただ飲めば効く」という薬ではありません。

飲み方と養生(過ごし方)がセットになって初めて、その真価を発揮します。

ここでは、効果を最大化するための「プロトコル(作法)」をご紹介します。

3-1. 効果を高める「お湯割り(温服)」のススメ

添付文書の用法・用量には「水またはお湯で服用」と記載されていますが、葛根湯の効果をより高めたいのであれば、水で流し込むよりも「お湯に溶かす」か、「お湯と共に」飲むことをおすすめします

  • 熱エネルギーの注入:物理的に温かい液体を胃に入れることで、深部体温を一気に上げ、悪寒による震えを止めます。
  • 香りの効果:お湯に溶かすと、桂皮(シナモン)や生姜の香りが立ち昇ります。この芳香成分(精油)には、胃腸の働きを助けたり、リラックスさせたりする効果があります。
  • 吸収スピードUP:温かい液体は胃の出口(幽門)を開きやすくし、スムーズに吸収されます。

3-2. 飲んだ後は「温かい食事」と「布団」でダメ押し

『傷寒論』には、葛根湯を飲んだ後に「熱いお粥をすすり、布団を被って汗が出るのを待つ」という指示があります。

これは現代の栄養学的に見ても非常に理にかなっています。

  • 炭水化物の熱産生:お粥やうどんなどの炭水化物は、消化吸収される際に熱を生み出します(食事誘発性熱産生)。
  • 薬味の追加:生姜やネギを加えると、発汗作用をさらに増強できます。

葛根湯を飲んだら、温かいものを食べて、すぐに布団に入りましょう。

首の後ろ(大椎というツボのあたり)をカイロやマフラーで温めるのも効果的です。

3-3. 「汗が出たらストップ」が鉄則

これが最も重要な「やめどき」です。

額や背中にじわりと汗をかき、熱が下がり始めたら、それは「治療完了」のサインです。ウイルスとの戦いは、葛根湯が必要なフェーズ(体温上昇・攻撃準備)から、免疫による排除フェーズへと移行しています。これ以上飲み続けると、無駄な発汗で体力を消耗させるだけです。スパッと服用を中止しましょう。

また、汗が出ないからといって漫然と飲み続けるのもNGです。メーカーの公式サイト等では、以下のような目安が示されています。

かぜの症状の改善を目的に葛根湯を服用する場合、数日を目安に服用しましょう。もし数日間服用しても症状が改善しない、または悪化している場合は服用を中止し、医師や薬剤師または登録販売者に相談してください。

葛根湯はいつ飲む?適切なタイミングとかぜのひきはじめに効果的な飲み方

数日飲んでも変化がない場合は、薬が合っていない(証が違う)か、すでに葛根湯の適応範囲を超えている可能性があります。自己判断で長く続けず、専門家に相談しましょう。

4. その飲み方、危険です!副作用と飲み合わせ

「漢方薬だから副作用はない」「安全だ」と思い込んでいませんか?

葛根湯は、体質によっては副作用が出やすく、また市販薬との飲み合わせにも注意が必要です。

4-1. あなたは「実証」?「虚証」?

漢方には「証(体質)」という概念があります。

葛根湯は、本来「実証(体力があり、筋肉質で、胃腸が丈夫な人)」向けの薬です。

逆に、以下のような「虚証(体力が弱い人)」が飲むと、副作用が出やすくなります。

  • 痩せ型で華奢、または水太りタイプ
  • 胃腸が弱く、すぐにお腹を壊す
  • 普段から汗っかき(寝汗をかく)
  • 顔色が青白い

虚証の人が無理に葛根湯を飲むと、「発汗過多による脱水」「食欲不振・吐き気」「動悸・のぼせ」などが現れる確率が高いため、注意が必要です。

4-2. 絶対に避けるべき「飲み合わせ(相互作用)」

大見出しにもあるように、葛根湯の副作用について章を追加してください。

4-3. 絶対に避けるべき「飲み合わせ(相互作用)」

市販薬をいくつか併用する場合、成分の重複に気をつけなければなりません。特に危険なのが以下の3つのパターンです。

① 総合感冒薬(ルル、パブロンなど)との併用:原則禁止

多くの市販の風邪薬には「メチルエフェドリン」などの咳止め・気管支拡張成分が含まれています。

葛根湯の「麻黄」にもエフェドリンが含まれているため、これらを併用すると交感神経刺激の過剰摂取となります。

動悸、不眠、血圧上昇、手の震え、排尿困難などを引き起こすリスクが高まります。

② 他の漢方薬との併用:甘草の重複に注意

葛根湯には「甘草(カンゾウ)」が含まれていますが、これは実に7割近くの漢方薬に含まれている生薬です。

甘草の成分(グリチルリチン)を摂りすぎると、**「偽アルドステロン症」**という副作用(むくみ、血圧上昇、手足の脱力感)を引き起こすことがあります。

「風邪には葛根湯、咳には小青竜湯」といった自己判断の併用は避けましょう。

③ 解熱鎮痛剤(ロキソニン、バファリンなど)との併用

葛根湯は「体を温めて熱を上げる」薬、解熱剤は「熱を下げる」薬です。

作用が真逆であるため、理論上は矛盾します。

高熱で苦しい場合に時間を空けて併用することはありますが、基本的には葛根湯単独で様子を見るのが望ましいです。

5. 葛根湯が合わない人のための「次の一手」

「葛根湯のタイミング(ひきはじめ)を逃してしまった」「胃腸が弱くて葛根湯が飲めない」

そんな方のために、葛根湯以外の選択肢をご紹介します。

5-1. 麻黄湯(まおうとう):インフルエンザ級の高熱に

葛根湯よりも発汗・解熱作用が鋭く強力な薬です。

「節々が痛む」「高熱が出たが汗が出ない」という、インフルエンザのような強い症状に適しています。ただし、体力がある人(実証)向けです。

5-2. 桂枝湯(けいしとう):胃腸が弱い人・少し汗ばんでいる時に

葛根湯から麻黄と葛根を抜いた構成で、作用が非常に穏やかです。

「少し汗ばんでいる(微汗)」「胃腸が弱い」「高齢者」の方の風邪の初期には、葛根湯ではなくこちらがファーストチョイスになります。

5-3. 麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう):冷え性・高齢者に

「熱はあまり出ないが、とにかく寒くてたまらない」「手足が氷のように冷える」「寝ていたいほどだるい」

そんな「陰証」の風邪には、体を芯から温める附子(トリカブト根)を含むこの薬が劇的に効くことがあります。

6. まとめ

葛根湯は、コンビニやドラッグストアで手軽に買える薬ですが、その本質は「タイミング」が命の、非常に尖った性能を持つ医薬品です。

  • 飲むタイミング:「ゾクゾクする寒気」があり、「汗をかいていない」時だけ。
  • 飲み方:空腹時に、お湯に溶かして飲み、温かい食事をとってすぐに寝る。
  • やめどき:汗をかいたらスパッとやめる。
  • 注意点:他の風邪薬と一緒に飲まない。汗っかきや胃腸の弱い人は別の漢方を選ぶ。

葛根湯は、あなたの体が本来持っている「治そうとする力(免疫力)」を、強力に後押ししてくれる頼もしい味方です。

しかし、あくまで主役はあなたの体です。

薬に頼り切りになるのではなく、「温かくして休む」という養生とセットで活用し、自分の力で風邪を撃退しましょう。

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