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オオギ薬局では、様々な医療用医薬品を〈処方箋なしで販売する〉という業態で、毎日全国から多くの問い合わせを頂きます。ただ、その中で
- 法令上通販ができない為に対応ができない
- 市販薬でも同等、類似の成分がある為にそれで十分だと考えられる
というケースがあるため、そういった方へ参考となるようなご案内ができればと思います。
春先の悩みのタネといえば、花粉症。花粉症と言えば鼻水、くしゃみ、鼻づまりの3大症状に悩まされる方が多いですが、皮膚のかゆみや赤みなど、症状が皮膚に現れる方もいます。
この記事では、そんな花粉症皮膚炎の特徴や対策方法、治療に効果的な市販薬について解説しています。毎年同じ時期に皮膚トラブルで困っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
花粉症皮膚炎とは

花粉症とは、花粉が原因物質となってアレルギー反応を生じる病気の総称です。アレルギー反応が生じる部位によって、以下のように分類されます。
- 鼻水、くしゃみ、鼻づまりなどの鼻症状
→季節性アレルギー性鼻炎(いわゆる普通の花粉症) - 目のかゆみ、充血、涙が出るなどの眼症状
→アレルギー性結膜炎 - 皮膚のかゆみや赤み、水ぶくれ、湿疹などの皮膚症状
→アレルギー性接触皮膚炎(いわゆる花粉皮膚炎)
花粉症と言えば鼻や眼に症状が現れる方が比較的多くそのイメージが強いのですが、病気の機序としては花粉を原因物質とする全身疾患であるため、鼻や眼に症状がなく皮膚だけに症状が現れる方も一定数います。特に、毎年同じ時期(特に2月から4月にかけて)に症状が現れる場合や、顔や首など衣服で覆われておらず花粉が付着しやすい部位に症状が現れる場合には、花粉症皮膚炎を疑ってみると良いでしょう。
日本人の花粉症の原因植物の約70%はスギです。したがって、スギ花粉が飛散する2月から4月にかけて症状が現れる方が多いです。一方で、ヒノキやイネなど、年中さまざまな植物の花粉が飛散しているので、春先でないからといって花粉症を否定することはできません。アレルギー検査でアレルゲン(アレルギーの原因物質)を特定できる場合があるので、気になる方は近医を受診してみましょう。
花粉症皮膚炎に罹りやすい人
以下のような方は、花粉症皮膚炎に罹りやすいと言われています。
- アトピー性皮膚炎がある(子どもの頃アトピー性皮膚炎だった)。
- アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の家族歴がある。
- 食物アレルゲンや環境アレルゲン(ダニ、ハウスダスト、花粉など)に敏感である。
- 屋外など花粉飛散量が多い場所で勤務している。
- 湿疹が出やすい。
- 肌が乾燥しやすい。
かゆいからといってかき続けてしまうと皮膚のバリア機能が壊れ、ますます症状がひどくなる悪循環におちいることも。特に、目のまわりのように皮膚が薄い箇所は敏感です。早くキレイに治すためには、患部はなるべく触らないようにして、速やかに治療を行うことが大切です。
花粉症皮膚炎の薬の選び方

花粉症皮膚炎の薬物治療は、第2世代抗ヒスタミン薬(内服薬)による花粉症そのものに対する治療と、ステロイド外用薬や保湿剤による皮膚炎の治療を、症状に合わせて並行して行うことが大切です。ここからは、それぞれの薬の特徴と、こういうときにはこの薬がおすすめというケースを紹介していきます。
第2世代抗ヒスタミン薬
アレルギー反応を引き起こすヒスタミンのはたらきを抑えることでアレルギー症状を緩和するのが抗ヒスタミン薬です。抗ヒスタミン薬には、第1世代抗ヒスタミン薬と第2世代抗ヒスタミン薬がありますが、眠気や口の渇きといった副作用が少ない第2世代抗ヒスタミン薬を選びましょう。代表的な第2世代抗ヒスタミン薬はアレグラ、クラリチン、アレジオンなどです。
ステロイド外用薬
ステロイド外用薬は、ストロンゲスト(Ⅰ群)からウィーク(Ⅴ群)まで、薬効の強さによって5ランクで分類されています。ステロイド外用薬は塗る部位や症状の重症度によってランクを選ぶ必要があります。余談ですが、市販されているのはストロング(Ⅲ群)からウィーク(Ⅴ群)までで、ストロンゲスト(Ⅰ群)とベリーストロング(Ⅱ群)は処方箋が必要となる医薬品区分です。
「ステロイドを塗っても、炎症が収まらない!」と皮膚科に駆け込む方が多いですが、ステロイドは「十分な量、十分な期間」使用しないと、十分な効果が得られません。特に、塗る量が足りていないケースが非常に多いと皮膚科医からよく聞きます。
皮膚科学会では、人差し指の先端から第一関節までチューブから絞り出した量(1FTU)を、両方の手のひらに相当する面積に塗ることが推奨されています(参考:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa39/q03.html)。実際に1FTUという考え方に従って薬を塗ってみると、思っていたよりたくさん塗るんだなと感じるかと思います。
保湿剤
保湿剤にはいくつか種類がありますが、純粋に保湿効果が欲しい場合にはヘパリン類似物質がおすすめです。一方で、ヘパリン類似物質には若干の刺激性があるので、かきむしって肌がじゅくじゅくしているような患部に塗ると、しみてピリピリと痛む場合があります。このように肌荒れがひどい患部には刺激性の低いワセリンがおすすめです。ワセリンは保湿効果だけでなく肌を保護する効果も高いので、外出前に塗ることで皮膚への花粉付着を防ぐような効果も期待できます。
炎症が起きているとき
炎症が起きているときは、ステロイド外用薬がおすすめです。顔や首は皮膚が薄いため、ミディアム(Ⅳ群)のステロイドを用います。ただし、ステロイド外用薬が目に入ると危ないため、医師の指示なく自己判断で目の周りに塗ることは避けましょう。
かゆみが強いとき
かゆみが強いときは、抗ヒスタミン薬(内服)がおすすめです。かゆみのある場所が赤みを帯びているなど炎症を起こしている場合は、ステロイド外用薬を併用すると良いでしょう。
肌が乾燥しているとき
肌が乾燥しているときは、ヘパリン類似物質配合の保湿剤がおすすめです。肌が乾燥していると皮膚のバリア機能が壊れ、少しの刺激でも炎症を起こしやすくなります。日々の保湿を心がけましょう。
花粉症皮膚炎に効果的な市販薬

ここからは、花粉症皮膚炎に効果的な市販薬を内服薬と外用薬に分けて順番に解説していきます。
内服薬
おすすめの内服薬として、アレグラFXとクラリチンEXをご紹介いたします。どちらも眠気などの副作用を生じにくい第2世代抗ヒスタミン薬で、アレグラFXは1日2回、クラリチンEXは1日1回の服用です。
医療用医薬品「アレグラ」のスイッチOTC医薬品。服用回数は1日2回です。
効能効果:
花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:くしゃみ、鼻みず、鼻づまり
用法用量:
成人(15才以上)、1回1錠、1日2回 朝夕に服用してください。
有効成分(1日量2錠中):
フェキソフェナジン塩酸塩 120mg
医療用医薬品「クラリチン」のスイッチOTC医薬品。服用回数は1日1回です。
効能効果:
花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる次のような鼻のアレルギー症状の緩和:鼻みず、鼻づまり、くしゃみ
用法用量:
成人(15才以上)、1回1錠、1日1回食後に服用してください。なお、毎回同じ時間帯に服用してください。
有効成分(1日量1錠中):
ロラタジン 10mg
花粉症の内服薬に関しては、以下の過去記事でも詳しく解説しています。よろしければご覧くださいませ。
外用薬
顔や首に塗ることのできるミディアム(Ⅳ群)ステロイド、ヒドロコルチゾン酪酸エステルを配合。
効能効果:
湿疹,皮膚炎,かぶれ,かゆみ,虫さされ,あせも,じんましん
用法用量:
1日数回、患部に適量を塗布します。
有効成分:
ヒドロコルチゾン酪酸エステル 0.05%
ステロイド外用薬を5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止して、近隣の医療機関を受診してください。
市販薬の中では最も効果の強いストロング(Ⅲ群)ステロイド、ベタメタゾン吉草酸エステルを配合。症状がひどい場合におすすめです。
効能効果:
しっしん、皮ふ炎、あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましん
用法用量:
1日1回~数回 適量を患部に塗布してください。
有効成分(1g中):
ベタメタゾン吉草酸エステル 1.2mg
ステロイド外用薬を5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止して、近隣の医療機関を受診してください。
保湿効果の高いヘパリン類似物質を、医療用と同じ0.3%配合。
効能効果:
手指の荒れ、ひじ・ひざ・かかと・くるぶしの角化症、手足のひび・あかぎれ、乾皮症、小児の乾燥性皮ふ、しもやけ(ただれを除く)、きず・やけどのあとの皮ふのしこり・つっぱり(顔面を除く)、打身・ねんざ後のはれ・筋肉痛・関節痛
用法用量:
1日1〜数回、適量を患部にすりこむか、又はガーゼ等にのばして貼ってください。
有効成分(100g中):
ヘパリン類似物質 0.3g
原料はワセリン100パーセント。純度が高く低刺激です。
効能効果:
手足のヒビ、アカギレ、皮膚のあれ、その他皮膚の保護
用法用量:
そのままを患部にうすく塗って下さい。
有効成分(100g中):
日局 白色ワセリン 100g
花粉症皮膚炎の対策方法について

花粉症皮膚炎は、症状が出てから治療するのではなく、症状が出ないように予防対策を行うことが非常に重要です。ここでは、花粉症皮膚炎の対策として効果的な方法を2つ紹介いたします。
花粉の回避
- 外出時には、マスクやゴーグル型の花粉対策メガネを着用する。
- 花粉が付着しづらい、表面がつるつるした素材の上着を身につける。
- 帰宅したら玄関で衣服についた花粉を払い、家の中に花粉を持ち込まない。
- 帰宅したら、なるべく早く入浴する。入浴が難しければメイク落としや洗顔だけでも。
- 花粉飛散量が多い日はなるべく外出を避け、窓を開けず、洗濯物を外に干さない。
保湿剤を使って肌を保護する
肌が乾燥することにより皮膚のバリア機能が破壊され、刺激に弱い状態となり、花粉症皮膚炎が起こりやすくなります。特に、スギ花粉が飛散する2〜4月は乾燥しやすい時期です。1月下旬頃から、ヘパリン類似物質やワセリンなどの保湿剤を用いて、定期的に肌を保湿することが重要です。保湿剤をしっかり塗ることで肌のバリア機能が高まり、花粉も皮膚に付着しにくくなります。
医療機関を受診する目安

病院にかかった方がいいのか、セルフケアで様子を見ても大丈夫なのか、迷う場合も多いですよね。以下に該当する場合は、医療機関の受診する方がいいでしょう。
- 生活に支障が出るほど症状がひどい
- ステロイド外用薬を5〜6日間使用しても症状がよくならない
- 第二世代抗ヒスタミン薬や保湿剤をしばらく使用しても症状がよくならない
- 他に使用している飲み薬や塗り薬があり、併用しても問題ないか気になる
- 花粉が原因なのか、他の原因による症状なのか、よく分からない(アレルギー検査をしてみたい)
上記に該当する場合は、かかりつけの皮膚科やアレルギー科、薬局などに行って、相談してみてください。
まとめ
花粉症の症状はくしゃみや鼻水だけでなく、かゆみや赤み、水ぶくれなど皮膚にも現れます。皮膚の症状は見過ごされがちですが、しっかり意識して対策していきましょう。
花粉症は毎年シーズンがきて厄介ですが、裏を返せば症状が現れる時期が予測できるので、事前に対策を行うことで症状を軽減することが可能です。花粉飛散前から内服薬や外用薬で万全の体制を整え、快適な生活を送っていただければ何よりです。
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